2018年12月15日(土) 石川充先生 保護者対応記録

「得意なこと」と「苦手なこと」を子ども自身に理解させたいのですが、どう伝えるのが良いでしょうか?

得意なことはよく観察していると何かしら見えてくるはずです。 どんな小さい成功事例でもいいから、褒めて褒めて「得意!」「やれる!」という肯定感を引き上げてください。苦手なことは「あなたは〇〇ができないのよ」とありのままを伝えるのではなく「今は〇〇が苦手だけど、こうするといい(出来る)んじゃない」というような言い方をしてあげてください。『猿もおだてりゃ木に登る』と言いますが、いじけたお猿さんは木に登らなくなります。子どもだって同じです。苦手なことに対しては「克服法」と「出来なかったときのフォロー」を考えた上で伝えましょう。

プライドが高く、失敗するとイライラが爆発してしまいます。

「自分は失敗しない」とプライドが高い子ほど、目で見たもの対して何にでも脳が「出来る」と判断してしまいがちです。当然、身の丈に合っていないことは失敗する可能性が高いしょう。よほどの危険性がない限り、挑戦するのは良いことです。大事なのは「心が折れないようなサポート」「出来なかったときのフォロー」です。時には、客観的な視点で子どもが失敗しないための課題設定・課題調整をしてあげてほしいと思います。多くの子どもは「失敗すると周りから非難される」と恐れを抱いています。失敗しそうだからと途中でやめても「諦めたことに対して非難される」と負の連鎖が引き起こされます。失敗に対するこうした感情は、小学3~4年くらいの時期の関わり方が非常に大事になります。

来春から転校する予定ですが、新しい学校へ子どもの特性をどう伝えたら良いでしょうか?

最初から特性を全部正確に伝えることに抵抗があるようでしたら「ウチの子はこういうキャラクターなんですよ」とか「こんなタイプです」と話しておくと良いでしょう。転校先にも色んなタイプの先生がいるはずです。多いのは、つい熱が入り過ぎて大声で指導してしまう先生、否定的な言葉で注意してしまう先生などです。こうしたタイプの先生が受け持つ場合は、あらかじめ「ウチの子は〇〇が苦手です」と配慮を求めることも大事です。

ウチの子には「朝、誰より早く学校に行く」というこだわりがあります。なぜ、そんなに早く行きたがるのか理解できません。

遅刻するよりは、早く行く方がいいに決まっています。極端にでなければ、否定したり、やめさせるべきことではありません。では、なぜ早く行きたがるのか。おそらくこの子は、自分が先に入った場所に後からみんなが来るのはいいけど、大勢がワッといる中に入っていくのが嫌なんじゃないかなと思います。もしそうだったら教室だけでなく、今後も人が集まる多くの場面で「自分が先は大丈夫だけど、自分が後からは嫌」という傾向が出てくる可能性があります。

相手に伝わらないほど早口です。吃音なのか早口症なのか気になっています。

自閉性を持っていると「一方的に自分の世界を表現したい」という思いが強く出てきます。「いま言わなきゃ」と思うと、短い時間に思いっきり詰め込むので早口になってしまうのでしょう。その子が見たイメージは広がっているのに、出てくる言葉がイメージに全く追いついてこないもどかしさも早口の要因であると考えます。こうした早口は、今後語彙数が上がって文法も整ってくると、自然に改善する場合もあります。

自分が感じた想いを言葉で表現してくれず、悩んでいます。言葉を引き出すために「きれいだね」などと同意を求めたり、「どうして?」など質問を投げかけたりと努力はしているのですが…。

まずは「言わせる」より「聞かせる」ことを心掛けてください。復唱させたり、答えを求めない方がいいでしょう。まずは、お母さん自身の何気ないつぶやきを聞かせてあげるだけでいいんです。

テレビの台詞を真似してしゃべることはありますが、自発的に自分の言葉としてはほとんど発しません。

テレビから入ってくる言葉は理解できるようなので、単語自体に意味があることは分かっているはずです。しかし、単語を会話の道具として使う必要性を自分の中で感じていないので、単語をつなげて文章化して発することをしていないだけです。まずは興味のあることに対して目線を合わせて質問していくと、少しずつ自分の言葉として単語を紡いでいけるはずです。遊びの中で楽しい気分を共有できれば、無理に言葉を引き出そうとしなくても、内から言葉が湧き出てくるものです。

人と関わるのが苦手で、ルールも理解することができません。

こういう子はマイワールドを強く持っています。だから他者の世界には入りたくない、そして他者を自分の世界に入れたくないんです。マイワールドの強い子は、他者に対し「何でそんなこと考えてるの?」「何でそんなこと聞くの?」と意見を相容れることができません。こうした子に対しては、何かをやらせようとするのではなく、まず同じ行動をして目の前のことを共有することが大事です。自分がやりたいことに理解を示してくれる人には、目を輝かせて話をしてくれるようになります。「言葉ではなく、感情を共有する」というスタンスで接してあげてください。

きっかけがよく分からないのですが、急に笑い続けることがあります。笑いながら口にジュースを含んで吹き出したりというイタズラ行為もあります。基本は穏やかな子なんですが、一度テンションがおかしくなると化粧品を投げたり、タンスをひっくり返したりもします。どこでスイッチが入るのか親も理解できずに困っています。

スキンシップを求めているのかもしれません。イタズラを確信犯的にする目的は「自分に目を向けさせたい」という思いのあらわれです。笑い続けるのは、楽しくて楽しくてそのことで頭がいっぱいになって、イタズラをしながらその反応を楽しんでいるのだと思います。スイッチが入る引き金としては色んな要因があります。他の子だと、上の兄弟が観ていた『バイオハザード』のDVDがきっかけで攻撃的になったなど、破壊的な行為に走る子もいます。化粧品を投げたりタンスをひっくり返したりする行為は、注意するお母さんとの関わりを楽しんでいるのだと思います。「それをやっているときは、お母さんが僕の方を向いてくれる」と感じているはずです。中には、怒られたときの強い反応が「刺激的でいい」と感じる子もいます。こうした子には、ペナルティを与えると不安が強まるだけです。無視できるイタズラとできないイタズラがあると思いますが、無視できないものにつては、代替行動を提示して注意するようにしてください。例えば「外ではやっちゃダメだけど、おうちのここでならやっていいよ」みたいな言い方が良いでしょう。何でも投げてしまう子には、的を用意してゲーム感覚にしてあげるなどという工夫も必要です。100%禁止するのではなく、開放する場所を決めてあげてください。

学校でもメグシィでもきちんと排泄できるのですが、家でだけトイレではなくお風呂でします。外ではできるのに、家ではできないのはなぜでしょうか?

お風呂で出す気持ち良さを一度覚えてしまうと、そこから抜け出すのは時間がかかってしまいます。トイレのこだわりには「オシッコは便器にできるが、ウンチだけは紙パンツ」という子や「カーテンにぐるぐるにくるまってでないとウンチができない」という子など色んなケースがあり、そのこだわりをすぐに消すのは難しいといわれています。まずは「トイレは苦しい場所ではないんだ」と子ども自身が認識できるよう、言葉ではなく視覚で伝えてあげるのが良いでしょう。

言葉が増えてきたのに、出来ないことが改善されません。こちらの指示や要求を理解はしているはずなのですが…。

出来ないのは指示が通らないのではなく、その子自身が気に入らないからです。やらないことに対して叱りつけるのではなく、ちょっと出来たら褒めて褒めて褒めまくるやり方をとるとやってくれるようになると思います。「ダメなことはダメ」と伝えた上で、こういう子には褒め殺しが一番いい方法だと思います。

自己主張はするのですが、自分の感情を抑えて伝えるのが難しいようです。

こういう子は特に、上手に遊べたときを見逃さないであげてください。「当たり前に出来ていることを大きく褒める」ことを心掛けてください。友達や兄弟に「貸して」と言えなくても大きく叱らないでください。言葉が分かる分、強く叱ると反応も大きくなります。出来たことに目を向けてあげてください。

聞こえているはずなのに、呼んでも返事をしません。

呼ぶ側が家事など何かしながら遠くから「宿題しなさい!」みたいに言っても絶対に言うことはきかないでしょう。呼ぶときは、子どもに近付いてきちんと目線を拾って「今あなたに用事があります」という姿勢を示してからにしてください。

思い通りにならないと極度に感情が高ぶり、立ちくらみを起こすことがあります。

しゃくり上げることで過呼吸を起こしているのかもしれません。自意識の高い子ほど、本能的にヒステリーを起こす確率が高いといわれています。「気を失う=てんかん」ではありませんが、念のため脳波の検査をしておいた方が良いかもしれません。過呼吸は、突発性の失神を引き起こす場合があるので要注意です。