2019年3月16日(金) 石川充先生 保護者対応記録

数字が得意で、計算ドリルもスムーズに解けます。そろばん教室に通わせているのですが、楽しく通っています。体も動かして遊んでほしいのですが、今後生活していく中で、何を選択して与えていけばいいでしょうか。

数字が得意なようですね。今後課題となるのが、国語のようです。読みの問題で、行間を読むとか、言葉のやり取りで空気を読むことが課題になるでしょう。自分の好きな事はとことんやるが友達関係などに目が行きにくく、言葉にすれば理解するけれど、雰囲気を察するなどが苦手です。クラスの中にそこを責める子いると難しくなります。

保育参観で、女の子に言い寄られて、言い訳ができず半べそをかいていた時があります。

年中になると女の子は母親のコピーで口が達者になり、男の子は圧倒されてしまいます。普段の会話で「今日はどうだった?」などと様子を聞いて会話を増やすといいでしょう。

転園をしたのですが、成長が見られて間違いではなかったと思っています。

好きな事にはとことん熱中するタイプなので、個性を伸ばしてあげて、その中で成功体験を積んでいくのがいいでしょう。やることが分かればできる子なので、「まずこれからしようか」など端的に説明してあげるといいでしょう。

絵を描くのが苦手で、目・鼻・口がやっと描けるようになりました。

絵を見せられても細かいところまで目がいかない子がいます。例えば飛行機の絵を見せられてときに垂直尾翼がないことに気づかないなど、ちょっと不思議な絵を見せられた時、不思議な部分に気づかない。図形の細かい所まで目がいきません。 文字を書く練習でも、黒板など遠くの手本を見ながら手元のノートに文字を写す事は苦手なはずです。その時は手本を近くに置いたり、上からなぞらせるなどの練習の方がいいでしょう。ぬり絵も、枠をきれいにふちどってその中を塗るのではなく、色をガーッと塗ったりしますが、点と点をつなげると線になり形ができるという空間認知を養う練習をすると、字を書くときにも役立ちます。

字を覚えさせる時にもパーツやイメージで教えています。

字を覚えさせる時に2パターンあって、書き順から覚えさせる時と、形で覚えさせる時があります。形で覚えるタイプの場合は、あまり書き順にこだわる必要はありません。文字の形を全身で表現するなど、遊びを通して漢字のパーツで覚えさせるのもいいでしょう。形を理解していればそれで良しとしましょう。

最近の行動で年齢の高い女性が気持ち悪いみたいで同居しているおばあちゃんに対する嫌悪感が強く、唾を吐いたりします。

こだわりがあるのだと思います。第一印象のイメージで行動してしまったり、言葉で表現できない分、つばをはいてしまうことがあります。小さいうちは許されるが大きくなると周りがひいてしまいます。 自閉傾向にある子は不安が目に入るとイメージができあがり思い通りにならないと不安解消にルーチンを使う時があります。 テレビを見たり、工作をしたり、落ち着くことを一通りやらせるといいです。「ちゃんとしなさい」や「しっかりしなさい」言い方はやめた方がいいです。思い通りにならない時や、先生からやりたくないことを求められた時、自分で言葉にして言えればいいのですが、できないと大声を出してしまう時があります。

クラスに刺激を与えてくる子がいて、教室に入れなくなりました。

一般的に小学4年生くらいになると自我が芽生えてきます。自分と他人の境界線がうまくいかないと自我だけを出してくる事があります。その子個人のスキルも大事ですが、クラス全体のスキルを上げることも大事です。クラスのスキルが上がらないと個人のスキルも上がってきません。クラス全体の理解が得られないと、自閉性を持った子は自信を無くし、積極的に行動できなくなってきます。4年生で担任の先生がうまく関わってくれると、5.6年生になってもうまくいきます。

感覚過敏が周囲に理解されず、化学繊維がかゆいみたいで、ジャージを着た先生に触れられるのを嫌がり、先生はショックを受けてしまいました。

肌触りが、嫌なのでしょう。冬でも半そで短パンの子はいます。感覚過敏の子は、周囲に理解されづらいので、優しくタッチしたつもりでも、本人にとっては痛くてしょうがなく感じてしまう事があります。ふいにカチンとあたっても痛覚より、圧覚で痛いと表現してしまいます。その時に「痛くないよ」と言われるのが本人は一番つらいので、「嫌なんだよね」などの声をかけてあげるといいでしょう。 

上の子は何でも食べるのですが、下の子は食べられないものが増えました。嫌いな野菜などは上手に取り出して食べます。

自閉症の子は歯に挟まるのが嫌な子が多く、咀嚼がうまくいかない子が多いです。 徐々に食べるようになるので、今、無理強いしなくてもいいでしょう。本人も食べたくない物を食べるのはつらいと思います。栄養を考えて、食べさせたいと思うならフードプロセッサーで粉々にして食べさせるようにしてもいいでしょう。

上の子は不安は強くないのですが、下の子は不安が強くでています。外出すると毛布をまいたり分離不安がよく見られます。

母が不安だったりイライラしていると子供が不安を感じることはよくあります。母がゆっくり生活すると不安がとれることがあります。子どもの行動を想定範囲内のこととして見られるようになれるといいですね。

靴下など自分ではけるのに、はかせてほしいと甘えてくることがあります。そういう時はどうすればいいのでしょう。

甘えたい気持ちはいったん受け入れてもよいでしょう。できるからこそ甘えるのであって、自閉の子は愛着形成が下手な子が多いので、そのうちやめるようになります。第一次反抗期の2歳〜3歳で、自分ではできないのに自分でするといってみたりすることがよくあります。この時期に愛着形成がうまくいかない場合は思春期にずれ込み、中学に入ってから母と腕を組んで歩いたりすることもあります。甘えてきたときは、受け止めてあげてください。